間質性肺炎、特発性間質性肺炎

概 要

肺は肺胞というブドウの粒状の小さな袋がたくさん集まって出来ています。
この小さな袋(肺胞)は、空気中の酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を体外に放出するという役割を担っています。
間質性肺炎は、この肺胞の壁に炎症や損傷が起きて壁が厚く固くなる病気です。
このため、間質性肺炎に罹患すると、体内に酸素を取り込むことが難しくなり、せきが強くなったり、労作時の呼吸困難などが進行したりします。
間質性肺炎の原因は膠原病によるもの、薬剤性のもの、じん肺によるものなど様々ありますが、原因不明のものも多く、これらを総称し特発性間質性肺炎と呼びます。
一般に特発性肺線維症と呼ばれる疾患は、大まかにこの特発性間質性肺炎に分類されます。

原因と症状

特発性間質性肺炎の原因は不明です。
未知の原因による肺胞上皮細胞の損傷や修復、治癒過程での異常が病態の主因であり、複数の原因遺伝子、環境因子が病気の発症に関与している可能性があるとされています。

症状は初期には無症状のことが多く、徐々に進行すると乾性咳嗽(から咳)や労作時の呼吸困難がみられます。
また、食欲不振やるいそうなどが進行する事もあります。
進行するにつれ、呼吸困難が強くなっていきます。
息切れの症状は、MRC息切れスケール(別表)のGrade1から徐々にGrade5まで進行していきます。

MRC 息切れスケール

診断と治療

診断は、丁寧な問診によりこの病気を疑うことから始まります。
診察による身体所見、運動時の血液中の酸素飽和度などを調べ、間質性肺炎を疑った場合、胸部レントゲンを行います。
早期の間質性肺炎の診断には、胸部CTが最も重要であるため、当院では早期の胸部CTでの検査をおすすめしています。

治療は、呼吸器の専門病院で行うのが良いと思われます。
間質性肺炎の治療のためには病型を確定診断する必要があり、時に気管支鏡や手術による肺生検など必要となることがあります。
当院で間質性肺炎を疑った場合には、充分経験のある呼吸器専門病院へ御紹介させて頂きます。
多くの場合、病気の進行を目的にステロイド剤や免疫抑制剤を使用します。
ある程度進行した特発性肺線維症では、抗線維化薬(ニンテダニブ、ピルフェニドン)を使用し進行を抑制します。

病気が進行すると、在宅酸素療法などの適応となり、低酸素血症に対する対策が中心となります。

間質性肺炎のレントゲン
間質性肺炎の胸部CT
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